2021年01月20日

新型コロナ危機⑤ 玉城知事の「決められない政治」がコロナ犠牲者を増やす

 1月19日、玉城デニー知事は、県独自の緊急事態宣言を発出した。

 あまりにも遅すぎる対応である。感染症対策の肝は、感染状況の推移を見越した上で、感染拡大の予防策の先手を打つことである。今回のように感染の急速な拡大が起きてしまってから、緊急事態宣言を出してもほとんど意味はない。津波が押し寄せてきてから避難警報のアラームをかき鳴らすようなものである。

 これはなにもいまに始まった話ではない。昨年からの新型コロナ・ウイルス危機に対する県の対応は、ことごとく事態を後追いしてきただけという観がある。県内部の意思決定のプロセスが明らかではないので推測混じりになるが、その主たる原因は、県政トップである玉城知事の決断力のなさである。

 とにかく呆れ返るほど、この人には決断力が根本的に欠けている。

 誰からも恨まれたくない、みんなからよく思われたいという八方美人的な性格が災いしたのだろうが、一方では、医療体制が逼迫しているという県医師会などからの突き上げに対して、何か対応しなければと焦りを募らせながらも、さりとて、経済的、社会的な痛みを伴う飲食店などへの休業要請にもなかなか踏み切れないという体たらくである。その優柔不断ぶりの行き着く果てに、この人ができたことといえば、県民に対して、「外での飲食は2時間以内にとどめ、うがい、手洗いを励行しましょう」などと、それこそ毒にも薬にもならないようなことをバカみたいに繰り返すことだけだったのである。

 小学生でも分かることだが、具体的な感染拡大の防止策を講ずることもせず、口先で無内容なメッセージを繰り返すだけでは、感染拡大に歯止めがかかるはずはない。貴重な時間が空費された結果、知事が県民にうがい、手洗いの励行を呼びかけている足下で、感染者数はジワジワと増加していく事態を招いてしまったのである。

 しかも、感染拡大にブレーキがかからないと見るや否や、玉城知事が言い放ったのは、「県民の間に気の緩みが生じているようだ」という言葉だった。呆れるのを通り越して唖然とするほかはないが、この人は、自らの無為無策を棚に上げて、県民に責任を転嫁してしまったのである。開いた口がふさがらないとはこのことだ。

 この間の玉城県政の無為無策ぶりを如実に示しているのが、県内のコロナ感染者用の病床数である。

 いま、深刻な問題になっているのが、新規感染者の増加に伴い、入院患者が急速に増えていることだ(昨年末の12月31日時点での入院患者数は158人だったが、1月1日には162人、2日には172人と徐々に増加していき、1月9日には208人となり、1月19日時点での入院患者は301人となっている)。

 連日、県内の病床占有率が逼迫していることが報じられているが、不思議なことに、県内の病床数がどれだけあるのかについては、ほとんど触れられていない。

 昨年中から県はコロナ患者専用病床を増やす意向を示していたので、病床数も目に見えて増えているに違いないと思っている県民は少なくないはずである(実をいえば、私自身もそのように思っていた)。

 ところが驚くべきことに、NHKと厚生労働省のホームページに掲示されている全国のコロナ病床数についてのデータを照らし合わせて調べてみると、沖縄県内でのコロナ患者専用病床の数は、昨年の8月からほとんど増えていないことが分かる。

 大雑把ながら病床数の変遷をたどってみると、昨年8月5日時点で、県内のコロナ専用病床は242床、重症患者用病床は15床だったのだが、8月12日時点になると、コロナ病床は443床、重症病床は47床へと一気に拡充されている。この病床増加は、8月9日に1日の新規感染者数としては最大の156人の感染者が確認されたことを受けてのものである。

 ところが、その後、病床数はほとんど横ばいの状態のままなのである(入院患者数が減少した時期もあったので、病床数が減少した時もある)。専用病床については、昨年12月23日時点で469床にまで若干増えてはいるものの、重症病床についていえば、実に昨年9月9日時点での53床から全く増えていない。

 こうしたデータを見ていると、これまで県当局は一体なにをやっていたのだろうかと思わざるを得ない。やるべきことをやってこなかったのではないかと思わざるを得ない。

 玉城知事は、わが身可愛さのあまり、批判を恐れて感染拡大阻止のために打つべき手を打たなかっただけではなく、感染状況が急速に悪化しても対応できるような医療体制の整備も満足にせずに、ただバカのひとつ覚えのように、うがい、手洗いの励行だの、ステイホームだのと、益体もないことを口にするだけでお茶を濁してきただけなのである。

 その結果、県内での感染拡大は全く歯止めがかからない状態になり、感染者数は増加の一途をたどっている。しかも、感染者の中には重症化リスクの高い高齢者も少なくないことを考慮に入れると、あまり考えたくはないことだが、今後、新型コロナ感染症の犠牲者がかなり増えることも覚悟しなければならない。

 はっきりいって、これは玉城県政がもたらした人災である。


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