2022年11月28日
共産党県議が言い放った愚劣な言いがかり
世の中には、真っ当な批判と不当な言いがかりというものがある。真っ当な批判には、しばしば物事を正すという建設的な力があるが、不当な言いがかりには、それを口にした人間の抱く悪意や邪心があるだけで、建設的な意味合いは微塵も含まないという違いがある。
唐突にこんなことをいうのは、11月18日付の琉球新報に掲載された「記者席」というコラムを読んだからだ。およそ200字ほどの小文だが、これを読むと、言いがかりというものがいかに非建設的で無内容なものであるかが嫌でもよく分かる。
最初に目を通した時は、よくもこんな愚劣な文章を得々と新聞が掲載するものだと呆れ返る思いがしてならなかったが、何度か読み返すうちに、空疎な言葉を吐き散らすことの空しさをよく示しているという点では、このコラムには反面教師的な意義があるという思いもしてきた。こんなバカげたことを言うような大人になってはいけませんよ、と子供たちに教え諭す材料としてはうってつけかもしれない。
前口上はほどほどにして本題に入ると、「『だまし』には鋭く」と題されたこのコラムの中身は、11月10日から19日まで行われた日米共同統合演習キーン・ソードに関するものである。短い文章なので全文を引用する。
<日米共同統合演習「キーン・ソード23」の中止要請のため、11日に沖縄防衛局を訪れた西銘純恵県議(共産)。防衛局側が演習を通じて日本の防衛に寄与すると説明したことに対し「キーン・ソードは鋭い剣で、名称が攻撃を意味している。防衛なら『ディフェンス』のはず」と反論した。その後も防衛局の説明には納得がいかず、要請後には「やっていることはだましだ」と憤った。説明と実態の食い違いには、質問も鋭く切り込む構えか>
いかがだろうか。このコラムの執筆者は、どうやら沖縄防衛局に対する西銘県議の反論に心底共感しているらしい口ぶりだが、ここで紹介されている西銘県議の発言には、わざわざ新聞が紙面をつぶしてまで掲載する程の価値があるといえるだろうか。
はっきりいって、そんな価値はひとかけらもない。ゼロである。
これは本当にバカげた言いがかりである。本当にナンセンスな物言いである。
誰が読んでも分かるように、ここで西銘議員が噛みついているのは、防衛目的だとされる軍事演習の名称が、攻撃的な表現(キーン・ソード=鋭い剣)になっているのは怪しからんということである。本当にそれだけである。
しかし、それなら、たとえば、演習の名称が、「ディフェンシブ・ソード」とか、「ソード・フォア・ピース」といった“平和的”な表現だったらよかったのだろうか。あるいは、「日米共同統合演習・友愛」とか、「日米共同統合演習・平和が第一」などといった名称であれば、防衛局の説明と実態が一致しているから大変よろしいと、西銘県議は納得されたのだろうか。
本当にバカも休み休み言ってもらいたいものである。
この人は、こんな下らないことを言うために、わざわざ沖縄防衛局にまで押しかけたのだろうか。
防衛局への抗議というパフォーマンスを通じて、西銘県議がアピールしたかったことは大方想像がつく。要するに、「日米合同演習の実態は攻撃的なものであり、いたずらに軍事的緊張を高めかねない危険なものだ。中国に対する軍事的挑発に繋がる演習は即刻中止すべきであり、それを防衛目的だと説明している政府の姿勢は、国民を騙すもので許すことはできない」というものだろう。
当然のことながら、西銘県議がこのような主張を唱えることは本人の自由である。しかし、これもまた当然のことだが、大の大人が、しかも県議という責任ある立場にある者が、政府の説明を欺瞞だと批判するのであれば、それ相応の説得力のある論拠を示すべきであることも論を待たない。公人による政府への批判は、子供の口喧嘩とは違うのだ。
ところが、西銘県議の言たるや、防衛が目的なら名称もディフェンスじゃないとおかしい、キーン・ソードは攻撃の意味になるから、政府の説明はウソだという、こまっしゃくれた子供がやらかすような、単なる言葉の揚げ足取りそのものである。子供の口喧嘩そのものである。
今回の軍事演習の性格が防衛的なものだったのか、あるいは防衛としては過剰な攻撃的なものだったのかは、演習の実質的な中身を検討することによってしか判断の下しようはない。名称など本質的にはどうでもよい話である。日米合同演習の趣旨は防衛目的だとする政府の説明は欺瞞だと、どうしても言い張りたいのであれば、演習の名称にイチャモンをつけるのではなく、演習の具体的な内容を俎上に載せて議論しなければならないはずである。
こんなことはかなり出来の悪い中学生でも分かる話ではないか。県議会議員を4期も務めている人間がそんなことも分からないのだろうか。
西銘県議は、「(政府の)やっていることはだましだ」と息巻いたそうだが、そういっている当の本人が、こうした無内容な、子供騙しレベルのことを金切声で叫んでいるだけという有様なのだから、これはもう、悪い冗談というほかはないだろう。
それにしても、こんな愚昧なことを言い放って得意がっているような人間が、地方議員とはいえ、政治家をやっているのだと思うと、呆れたり腹が立つというレベルを通り越して、本当に悲しくなってくる。日本共産党といえば、日本の政界でも随一の理論家集団として知られたインテリ政党だったはずではないか。その所属議員がこんな幼稚な物言いをして、本当に恥ずかしくないのだろうか。いらぬお節介とは知りながら、これでは共産党のブランド・イメージにも傷がつくのではないかと心配になってくる程である。
また、腹立ちついでに言い添えると、こんなバカげた発言を臆面もなく言い放つ議員も議員だが、それをまた、「説明と実態の食い違いには、質問も鋭く切り込む構え」などと、臆面もなしに持ち上げている琉球新報の記者の愚劣さも、もはや救いようがない。このコラムを書いた記者の親の顔が見てみたいものである。
Posted by HM at 09:50│Comments(0)